メジャーリーグベースボール(MLB)で圧倒的なシェアを誇る二大バットブランド、マルーチ(Marucci)とビクタス(Victus)。
2022年のMLBシーズンにおいて、マルーチが、ビクタス共にが各20%以上のシェアを獲得し、合計すると約半数のメジャーリガーが使用しているこの二つのブランドは、実は2017年にマルーチがビクタスを買収し、現在は同じ企業グループに属しています。
本記事では、それぞれのブランドの特徴、硬式・軟式バット、バッティンググローブの違い、愛用するメジャーリーガー、そして各ブランドに向いている方をご紹介します。
マルーチ(Marucci)とビクタス(Victus)のブランドストーリー
マルーチ(Marucci)の歴史


マルーチは2004年、アメリカ合衆国ルイジアナ州バトンルージュで、アスレティックトレーナーのジャック・マルーチが創業しました。
息子のために趣味でバットを作っていたところから始まり、元MLBプレーヤーのカート・エインズワースとジョー・ローレンスが他選手に紹介したことで球界に広まりました。
裏庭のガレージからスタートした小さな工房は、一貫した品質へのこだわりとプレーヤーのニーズを理解する姿勢により、今ではMLBでトップクラスのシェア率を誇るバットブランドへと成長しました。
ビクタス(Victus)の歴史


ビクタスは2012年、ニュージャージー州ブラックウッドの小さなガレージで、野球に対する大きな愛と期待から誕生しました。
当初はバットのデザイン性に注目が集まりましたが、2017年にマルーチの傘下に入ったことで、マルーチのノウハウも吸収し、デザイン性に加え機能性や品質も飛躍的に向上しました。
わずか10年で、こちらもMLBバットシェア率がトップクラスになるという驚異的な成長を遂げ、2021年から2022年にかけてシェア率を急激に伸ばしています。
マルーチとビクタスの硬式用バットの違い
マルーチ硬式木製バットの特徴


マルーチの硬式木製バットは、とにかく固く弾きがいいのが最大の特徴です。
北米産のハードメープル材を使用し、目が詰まっていて硬く、折れにくい設計になっています。
BFJマーク入りで日本の公式戦でも使用可能です。
主な特徴:
●素材:北米産ハードメープル(最高品質の木材)
●打感:硬質で弾きが良い
●耐久性:目が詰まった硬い材質で折れにくい
●バランス:トップバランス、ミドルバランス、トップミドルバランスなど多様
●先端加工:くり抜き加工により振り抜きやすさを実現
●価格帯:約25,000〜30,000円
ビクタス硬式木製バットの特徴


ビクタスは、マルーチでキープした原木からさらに厳選したより良い材をチョイスしてバットに使用しています。
これが両ブランドの価格差にも反映されており、ビクタスの方がマルーチよりもハイクオリティと評価されています。
主な特徴:
●素材:北米産ハードメープル(マルーチよりも厳選された最高級材)
●打感:剥がれにくく、硬い打感
●デザイン:ゴールドのロゴなど美しいデザイン性
●品質:マルーチよりもさらに高品質な木材を使用
●革新性:AXEハンドル(アックスハンドル)とのコラボモデルなど
●価格帯:約27,000〜35,000円
マルーチとビクタスの硬式バットの違いまとめ
項目 | マルーチ | ビクタス |
---|---|---|
木材品質 | 最高品質の北米メープル | マルーチよりさらに厳選された最高級材 |
打感 | 硬質で弾きが良い | 硬質で剥がれにくい |
デザイン性 | シンプル〜スタンダード | より派手で美しいデザイン |
価格 | 25,000〜30,000円 | 27,000〜35,000円 |
耐久性 | 高い | 非常に高い |
マルーチとビクタスの軟式バットの違い
マルーチ軟式バットの特徴


マルーチの軟式バットは、特に「ワニクラッシャー」が注目されています。
ビクタス軟式バットの特徴


ビクタスも軟式市場に参入しており、「ペンシルバット」が人気です。
軟式バットの違いまとめ
項目 | マルーチ | ビクタス |
---|---|---|
主力シリーズ | ワニクラッシャー | ペンシルバット |
金属バット素材 | アルミニュウム合金/ウレタン | アルミニュウム合金/ウレタン |
価格 | 約50,000円 | 約50,000円 |
デザイン | ワニのロゴが特徴的 | スタイリッシュなデザイン |
ターゲット | パワーとスピードの両立 | 操作性とコントロール重視 |
マルーチとビクタスのバッティンググローブの違い
マルーチ バッティンググローブの特徴


マルーチのバッティンググローブは、メジャーリーガーにも愛用者が多く、耐久性とグリップ力に定評があります。
ビクタス バッティンググローブの特徴


ビクタスのバッティンググローブは、派手なグラフィックデザインが特徴で、機能性とデザイン性を両立しています。
バッティンググローブの違いまとめ
項目 | マルーチ | ビクタス |
---|---|---|
デザイン | シンプル〜ベーシック | 派手でグラフィカル |
掌の素材 | カブレッタシープスキン | Pittardsシープスキン |
主な特徴 | 耐久性とグリップ力重視 | デザイン性と機能性の両立 |
価格帯 | 5,000〜8,000円 | 4,500〜8,000円 |
ターゲット | 実用性重視の選手 | デザインも重視する選手 |
高校野球対応 | MBGJBKSMFW-W-AXSなど | なし |
マルーチとビクタスおすすめの方
マルーチが向いている方
マルーチは以下のような方に最適です:
パワーヒッター志向の方
●理由:硬く弾きが良い打感で、飛距離を出しやすい
●適合モデル:アルバート・プホルスモデル、フレディ・フリーマンモデル
●バランス:トップバランスやトップミドルバランスが多い
コストパフォーマンスを重視する方
●理由:ビクタスよりも価格が若干安い
●硬式木製バット:25,000〜30,000円
●品質:最高品質の北米メープルを使用
耐久性を求める方
●理由:目が詰まった硬いメープル材で折れにくい
●特徴:バッティンググローブも耐久性重視の設計
シンプルなデザインを好む方
●理由:派手すぎないスタンダードなデザイン
軟式でパワーを求める方
●理由:ワニクラッシャーシリーズはパワーヒッター向け
●特徴:航空宇宙合金AZ99採用で飛距離アップ
ビクタスが向いている方
ビクタスは以下のような方に最適です:
最高品質を求める方
●理由:マルーチよりもさらに厳選された最高級材を使用
●価格:27,000〜35,000円(品質に見合った価格)
●特徴:木材の目がさらに詰まっており、剥がれにくい
ハイアベレージヒッター
●理由:細めのグリップと大きめの打球部でしなりを効かせやすい
●適合モデル:タティス・ジュニアモデル、ティム・アンダーソンモデル
●特徴:芯が広く、ミート率が高い
デザイン性を重視する方
●理由:ゴールドのロゴや派手なグラフィックデザイン
●バッティンググローブ:NOXシリーズなど個性的なデザイン
●特徴:グラウンドで目立ちたい方に最適
革新的な技術を求める方
●理由:AXEハンドル(アックスハンドル)とのコラボモデル
●特徴:日本ではJグリップとして知られる革新的な形状
●メリット:手首への負担軽減、スイング効率の向上
操作性重視の方
●理由:ペンシルバットなど細身のデザイン
●軟式バット:コントロール重視の設計
長期的な投資を考える方
●理由:最高級材による耐久性の高さ
●コスパ:価格は高いが、長く使える
●特徴:折れにくく、長期間パフォーマンスを維持
マルーチとビクタス公式サイトと直営取扱店
マルチ&ヴィクタススポーツジャパン公式
両ブランドは日本では「マルチ&ヴィクタススポーツジャパン合同会社」が展開しています。


HITTER’S HOUSE TOKYO(直営店)
住所: 東京都港区東新橋1丁目8-2 カレッタ汐留B1-B33
営業時間: 11時〜20時(年中無休)
まとめ
両ブランドとも、MLBで圧倒的なシェアを誇る理由は、その品質の高さとプレーヤーのニーズを理解した製品開発にあります。
2017年にマルーチがビクタスを買収したことで、両ブランドのノウハウが共有され、さらに高品質な製品が生まれています。
メジャーリーガーの約半数が使用するマルーチとビクタス。あなたもMLBトップの品質を体感してみませんか。